お役立ちコラム
Column

シロアリ駆除剤の種類と選び方!成分・形状の違いや使い方も解説

シロアリ駆除剤には成分が6系統、剤型が4種類あり、それぞれ安全性や効果の持続期間が異なります。成分ごとの安全性や剤型の使い分け、選び方の5つのポイント、市販品でやってはいけないことまで詳しく解説します。

シロアリ駆除剤には、ホウ酸系やネオニコチノイド系などさまざまな成分が使われており、成分によって特徴や扱い方が異なります。また、液剤・顆粒剤・スプレー・ベイト剤など剤型も多く、どれを選べばよいのか迷うこともあるでしょう。

この記事では、シロアリ駆除剤に使われる主な成分の特徴や安全性、剤型ごとの違いをわかりやすく解説します。市販品を使用する際の注意点や、専門業者に依頼した場合の施工の流れについても紹介します。

目次

シロアリ駆除剤に使われる主な成分

シロアリ駆除剤にはさまざまな成分が使われており、シロアリへの作用や効果の現れ方、扱いやすさなどに違いがあります。

近年は、以前に比べて人やペットへの影響に配慮された薬剤が中心ですが、成分によって特徴は異なります。駆除剤を選ぶ際は、それぞれの性質を理解したうえで、使用する場所や目的に合ったものを選ぶことが大切です。

人体に安全で効果が長続きする「ホウ酸系」

ホウ酸は、ホウ酸塩鉱物を精製してつくられる無機化合物です。腎臓を持たないシロアリはホウ酸を体外に排出できず、体内に蓄積するとエネルギー代謝ができなくなり、時間をかけて死に至ります。

一方、哺乳類は腎臓の働きによって短時間で排出できるため、急性毒性は食塩とほぼ同程度とされています。揮発や分解が起こらない無機物であるため、乾燥した環境であれば効果が半永久的に持続する点も特長です。

ただし、ホウ酸には弱点もあります。水に溶けやすい性質があり、雨や湿気にさらされると成分が流れ出てしまうため、屋外や土壌への処理には向きません。効果が現れるまでに2〜3か月程度かかることも多く、すでに被害が進行している場合の即効的な駆除には不向きとされています。

なお、ホウ酸は化学物質排出把握管理促進法の対象物質にも指定されており、環境や健康への影響を踏まえた公的な基準が設けられている点も知っておくとよいでしょう。自然由来だから安全だと考えるだけでなく、こうした特性もあわせて理解しておくと安心です。

ホウ酸を使った防除を選ぶ際は、日本木材保存協会の認定薬剤であるかどうかや、施工実績のある専門店であるかを確認することをおすすめします。

なお、グラックスには、ホウ素系防腐防蟻剤「エコボロン®」の認定スペシャリストが在籍しており、専門知識をもとにした施工を行っています。

出典:公益社団法人日本木材保存協会「木材保存剤等認定規程」(https://www.mokuzaihozon.org/info/yakuzai/ninteikitei_20210910.pdf)

安全性が高く扱いやすい「ネオニコチノイド系」

ネオニコチノイド系は、タバコに含まれるニコチンに似た構造を持つ成分です。シロアリの神経系に作用して駆除するタイプで、現在広く使用されています。

この系統は「忌避性」がほとんどない点も特徴です。忌避性とは、薬剤の匂いや刺激をシロアリが嫌って避ける性質のことです。

ネオニコチノイド系はこの忌避性が低いため、薬剤を避けられにくく、シロアリが気づかないまま薬剤に触れることが期待できます。また、蒸気圧が低く空気中に揮発しにくいため、低臭性であることも特徴のひとつです。

人やペットへの毒性は比較的低いとされていますが、無害というわけではありません。使用する際は製品の注意事項を確認し、子どもやペットが薬剤に触れないよう配慮することが大切です。

駆除力と連鎖効果に優れた「フェニルピラゾール系」

フェニルピラゾール系は、フィプロニルやピリプロールといった成分が代表的で、シロアリの神経伝達を阻害して駆除します。この系統は忌避性がなく、効果がゆっくりと現れる「遅効性」であることが特長です。

遅効性の薬剤に触れた個体は、すぐには異変を感じないまま巣に戻ります。すると、グルーミングやえさの分け合いを通じて仲間にも効果が伝わっていく「伝播効果」が期待できます。少量でも高い効果を発揮するため、被害がすでに進行している場合の駆除に用いられることがあります。

一方で、ほかの系統と比べて毒性がやや強いとされており、扱いには専門的な知識と経験が求められます。市販品として販売されているものもありますが、使用の際は用法・用量を厳守することが大切です。

呼吸を阻害して撃退する「フェニルピロール系」

フェニルピロール系の代表的な成分はクロルフェナピルです。シロアリの体内でエネルギーをつくり出す働きを阻害し、呼吸ができない状態にして駆除します。

忌避性がなく、効果がゆっくり現れる「遅効性」のため、フェニルピラゾール系と同様に仲間への伝播が期待できます。また、紫外線以外では分解されにくく、土壌に吸着しやすい性質も特徴です。そのため、土壌処理剤として使われることがあります。

一方で、殺虫効果が高い反面、人体への影響にも注意が必要です。家庭で使用する場合は、製品に記載された用法・用量を守り、必要に応じて換気や保護具の使用など、適切な対策を講じましょう。

強い殺虫力をもつ「カーバメート系」

カーバメート系は、シロアリの神経伝達に関わる酵素の働きを妨げ、神経を過剰に興奮させることで駆除する成分です。殺虫力が強い一方、代表的な成分であるフェノブカルブは、室内の空気汚染につながる可能性があります。そのため、シックハウス症候群の原因となる化学物質のひとつとして、室内濃度指針値が定められています。

こうした特性から、現在は住宅内での使用が限定的です。一般の方が扱うには注意が必要な成分のため、使用する場合は専門業者に相談し、適切な方法で施工してもらうと安心です。

出典:厚生労働省「室内濃度指針値一覧」(https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001522237.pdf)

即効性と予防効果が高い「ピレスロイド系」

ピレスロイド系は、除虫菊に含まれる天然成分ピレトリンをもとに化学合成された成分で、家庭用の殺虫スプレーや蚊取り線香にも使われている身近な薬剤です。シロアリの神経に作用して麻痺を引き起こすため、即効性が高いことが特長です。

一方で、忌避性があり、シロアリが薬剤を避けて逃げてしまう性質があります。目に見える範囲のシロアリを一時的に駆除することはできますが、木材の内部や土の中にいるシロアリまでは届きにくく、巣そのものの根絶には向きません。

シロアリ駆除剤の施工方法・形状の違い

シロアリ駆除剤には、液剤や顆粒剤、スプレー、ベイト剤といった複数の剤型があり、施工する場所や被害の状況によって適した形状が異なります。それぞれの特徴を理解し、目的に合わせて使い分けることが大切です。

広範囲を一気に施工できる「液剤」

液剤は、噴霧器を使って床下の木材や土壌全体に散布するタイプの薬剤です。平面から立体までの広範囲にムラなく行き渡らせやすく、床下全体を薬剤の層で覆う「バリア工法」の主役となる剤型です。

専門業者は動力噴霧器を用いて隅々まで均一に処理しますが、家庭用の手動噴霧器では散布ムラが生じやすく、処理が行き届かない箇所からシロアリが侵入するリスクが残ります。揮発性のある製品も多く、施工直後はにおいが気になる場合もあります。

飛び散りにくく狙って散布できる「顆粒剤」

顆粒剤は、粒状の薬剤をそのまま散布して使うタイプです。水で希釈する必要がないため、床下が過度に湿りにくく、風で飛散しにくい点もメリットといえます。狙った場所にとどまりやすいため、床下の土壌などに適しています。

一方、風の影響を受けやすい屋外では、粒が飛散するおそれがあります。使用する場所の環境を確認したうえで、適した剤型を選ぶことが大切です。

狭い場所やピンポイント処理に効く「スプレー」

スプレーは、狭い隙間や被害箇所に直接噴射して使うタイプです。市販の駆除剤のなかでも扱いやすく、目に見えるシロアリや羽アリへの応急処置として使われることがあります。玄関まわりや木材の割れ目など、局所的な処理にも向いています。

一方で、表面に薬剤を吹きかけるだけでは、木材の内部や床下などに潜むシロアリまで十分に対処できないことがあります。手軽に使える反面、あくまで応急処置として考え、被害が疑われる場合は専門業者による調査も検討しましょう。

置くだけで安全に予防・駆除できる「ベイト剤」

ベイト剤は、シロアリが好むえさに薬剤を混ぜ、巣へ持ち帰らせるタイプの駆除剤です。薬剤を広範囲に散布する必要がないため、室内で薬剤を使いたくない場合などに適しています。

シロアリが薬剤入りのえさを巣へ運ぶことで、巣にいる個体への効果も期待できるのが特徴です。一方で、シロアリの通り道を見極めて適切な場所に設置する必要があります。効果が現れるまでに数か月単位の時間がかかることも多く、根気強く経過を観察する必要があります。

シロアリ駆除剤選びの5つのポイント

シロアリ駆除剤は、成分や剤型によって特徴や適した使い方が異なります。自宅の被害状況や使用場所に合ったものを選ぶために、押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

シロアリの種類に適した薬剤を選ぶ

日本の住宅で見られるシロアリの多くは、ヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。ヤマトシロアリは比較的小規模なコロニーを形成するのに対し、イエシロアリは大規模な集団をつくるため、より強力な対策が必要になります。

加えて、近年は外来種であるアメリカカンザイシロアリの被害も報告されています。この種は地中からではなく空中を飛来して侵入し、1階の床下だけでなく2階や屋根の建材まで食害することがあるため、市販の駆除剤では対応できないケースもあります。

まずは自宅にどの種類のシロアリが発生しているのかを見極めることが大切です。

家族やペットに安全な成分・薬剤を選ぶ

薬剤を選ぶ際は、家族やペットへの影響にも目を向けたいところです。低臭性や揮発しにくい性質を持つ薬剤は、室内で使用する際の負担を抑えるうえで参考になります。

また、犬や猫などの哺乳類だけでなく、観賞魚や昆虫を飼育している場合は、それらへの影響も確認しておきましょう。使用場所や薬剤の種類によって注意点が異なるため、商品の表示や使用方法をよく確認することが大切です。

使いたい場所に合わせた形状を選ぶ

シロアリ駆除剤は、使用する場所によって適した剤型が異なります。たとえば、玄関まわりの柱や木材の隙間など、狭い範囲を処理するならスプレー、床下の土壌など広い範囲には液剤や顆粒剤が向いています。

風の影響を受けやすい屋外では、飛散しにくい剤型を選ぶなど、使用場所に合わせて使い分けることが大切です。どこに、どの程度の範囲で使用するのかを確認したうえで、適した剤型を選びましょう。

効果の持続期間と費用を考慮する

市販の駆除剤は、製品によって効果の持続期間が数か月から数年程度とさまざまです。一方、専門業者による施工では5年程度の保証が付くことが一般的です。

自分で何度も薬剤を購入して施工する手間や費用と、専門業者に依頼して長期間の安心を得ることの2つを比較しながら、自宅に合った選択を検討するとよいでしょう。

自己判断が難しい場合はプロに相談する

シロアリの種類や被害の程度は、見た目だけでは正確に判断できない場合があります。「本当にシロアリなのか」「どこまで被害が広がっているのか」と判断に迷うときは、専門業者に相談して状況を確認することが大切です。

早い段階で被害状況を把握できれば、必要な対策も検討しやすくなります。気になるサインがある方は、まず専門業者による調査を受けてみるとよいでしょう。

なお、株式会社グラックスでは、シロアリの調査から駆除、施工後の保証まで対応しています。サービスの詳細については、サービス紹介ページからご覧ください。

グラックスのシロアリ駆除サービスの詳細はこちらから

ホウ酸によるしろあり防除サービスはこちらから

市販のシロアリ駆除剤で「やってはいけないこと」

市販のシロアリ駆除剤を使う際は、目に見えるシロアリだけを狙って薬剤を吹きかけないことが重要です。とくに忌避性のあるピレスロイド系のスプレーを巣穴や蟻道に直接使用すると、シロアリが薬剤を避けて別の場所へ移動する可能性があります。

その場にいる個体を駆除できても、巣に残った個体が別の場所へ分散すれば、被害の全体像を把握しにくくなります。結果として、かえって駆除が難しくなるおそれもあるでしょう。

スプレーは、目に見えるシロアリへの一時的な対処には使えますが、巣全体の駆除を目的とする場合には注意が必要です。被害が広範囲に及んでいる可能性があるなら、薬剤をむやみに散布せず、専門業者に調査を依頼することをおすすめします。

シロアリ駆除剤の正しい使い方・施工手順

専門業者による施工は、以下のような流れで進められます。この工程を知っておくと、市販品を使って対応する場合に、どれほどの手間や技術が必要になるかをイメージしやすくなります。

事前準備|十分な装備の着用と換気を忘れずに行う

床下は土埃やゴミが堆積していることが多いため、施工前には防塵マスクやゴーグル、長袖の作業着、手袋などを着用します。薬剤による皮膚や粘膜への刺激を防ぐとともに、作業中および作業後はしっかりと換気を行うことが基本です。

事前調査|敷地内や床下でシロアリの巣・通り道を特定する

施工の前には、床下や建物の周囲を調査し、シロアリが移動する通り道である「蟻道」や被害箇所を特定します。木材を軽くたたいて空洞音がしないかを確認する「打診」なども行われ、被害の範囲を正確に把握したうえで施工計画を立てます。

施工|薬剤ごとの最適なテクニックで塗布・散布する

床下の木材や土壌には、噴霧器を使った散布や刷毛(はけ)による塗布で薬剤を行き渡らせます。玄関やタイル張りの浴室など、床下から直接処理できない箇所には、壁や土間に6ミリ~8ミリ程度の穴をあけて薬剤を注入する「穿孔処理」が行われます。

建物の強度に影響しない範囲で穴をあけ、施工後は補修材でふさぐため、見た目ではほとんど分かりません。

アフターケア|定期点検で予防効果を維持する

薬剤の効果は永続的ではなく、一般的な薬剤は日本しろあり対策協会の基準で、5年を目安に効果が薄れていくとされています。専門業者のなかには、施工後5年間の保証を設け、定期点検を実施しているところもあります。

定期的に状態を確認してもらうことで、シロアリの再発や新たな被害にも早く気づきやすくなります。施工後も継続して住まいの状態を確認できることは、専門業者に依頼するメリットのひとつです。

出典:公益社団法人 日本しろあり対策協会「保証に関すること」(https://www.hakutaikyo.or.jp/faq/2659.html)

まとめ

シロアリ駆除剤には、ホウ酸系やネオニコチノイド系をはじめ、さまざまな成分や剤型があります。市販品は応急処置や部分的な対策に役立ちますが、被害が住宅の構造部分まで及んでいる場合は、薬剤を選ぶだけでは十分な対策が難しいこともあります。

そのため、被害の範囲や住宅の状態を確認したうえで、適した方法を選ぶことが大切です。自分で対処するか業者に依頼するか迷う場合も、まず現在の状況を把握しておけば、必要以上に薬剤を使用したり、対策が遅れたりするリスクを抑えられます。

グラックスでは、しろあり防除施工士や蟻害腐朽検査士などの有資格者が建物の状態を調査し、被害状況に合わせた駆除方法をご提案しています。ケミカル薬剤に加えて、ホウ素系薬剤「エコボロン®」による防除にも対応し、施工後は保証や定期点検までサポートしています。

「この程度なら市販の駆除剤で大丈夫かな」と迷っている方も、まずは現在の状態を確認してみてはいかがでしょうか。シロアリ被害や駆除方法について気になることがあれば、グラックスへお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちらから