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防鳥ネット工事に足場は必要か|施設の鳥害対策、費用を左右する3つの条件

防鳥ネット工事に足場は必要か

ホテルや工場、商業施設で鳩の被害が出たとき、最初に必要になるのは「いくらかかるのか」という見当です。

ところが、防鳥ネット工事の費用は「1平方メートルあたりいくら」という形では示しにくいものです。同じ面積でも、建物の形と条件によって金額が何倍も変わるためです。本記事では、施設の防鳥ネット工事で実際に費用の何が大きいのかを見積の内訳から説明し、金額を左右する3つの条件を整理します。

1. 防鳥ネット工事の費用は「ネット代」ではない

ある宿泊施設(7階建て、客室ベランダへの防鳥ネット設置)の見積内訳を構成比で示すと、防鳥ネット(材料)約10%、ネット固定ベース約9%、その他部材約7%、施工費約43%、出張費約23%、諸経費約9%という内訳でした。材料費の合計は全体の約26%で、残りの約65%は人が動くための費用です。防鳥ネットそのものは、総額の1割程度にすぎません。

この構造からわかるのは、「防鳥ネットは1㎡いくらですか」という問い合わせでは見積の比較ができないということです。材料単価の多少の違いは総額への影響が限定的で、金額を動かしているのはその現場で人がどう作業するかという条件です。

工事費の大半は

金額を決める3つの条件

条件① 高所作業をどう行うか

建物の高い位置で作業する方法が、費用に最も強く影響します。選択肢は大きく3つです。

  • 足場を組む:安全性・効率は高いが、外部足場の設置・解体に相応の費用がかかる。数階建て以上の外壁全面に組む場合、足場費だけで工事全体に匹敵する規模になることもある。足場が建っている期間は外観・採光・動線に影響が出るため、営業中の施設では無視できない
  • ロープアクセス工法を使う:足場の設置・解体の費用と期間がかからず、足場では届きにくい位置にも対応できる。ただし、ロープを固定できる強固な支持物が上部にあることなどが前提になる
  • 他工事の足場を利用する:外壁塗装や大規模修繕など、別の工事で足場を組む予定があれば、その期間に合わせて防鳥工事を行うことで足場費を負担せずに済む。足場がかかる範囲は足場、届かない範囲はロープアクセスという併用も可能

修繕計画がある施設では、鳥害対策を単独で発注するより工程を合わせたほうが総額を抑えられる可能性があります。

費用を大きく左右する3つの選択肢

ロープアクセスの安全管理について
平成28年施行の改正労働安全衛生規則により「ロープ高所作業」が規定され、ライフラインの設置、作業計画の策定、作業指揮者の選任、墜落制止用器具の使用、作業開始前の点検などが事業者に義務づけられています(厚生労働省 新潟労働局「ロープ高所作業に関する労働安全衛生規則の内容について」)。また、この業務には特別教育の修了が必要です。

弊社グラックスでは、現場に出る全社員が入社から3か月以内にこの特別教育を修了し、社内研修を経てから現場に出る体制としています。繁忙期の応援要員も含め、全員が同じ教育を受けているため、「資格者が1名いて、あとは補助」という体制にはなりません。高所作業車(作業床10m以上)の技能講習も同様に全員が修了しており、現場条件に応じてロープアクセスと高所作業車を使い分けられる点が強みです。作業指揮者は現場ごとに選任し、職長・安全衛生責任者教育を修了した者が担当します。

見積を比較する際は、この法令に基づく体制があるか、作業計画書の提出を求めて確認することをおすすめします。

条件② 施工範囲をどこまでにするか

予算が厳しいときに「範囲を狭める」判断をしても、思ったほど総額は下がりません。前述の宿泊施設の例では、施工範囲を25%広げても総額は5%程度しか増えず、平方メートルあたりで見ればむしろ約17%安くなりました。高所作業の段取り、移動、諸経費は面積に比例しないためです。被害が出ている箇所と今後出そうな箇所をまとめて一度に施工するほうが、結果として費用対効果は高くなります。

施工範囲をどこまでにするか
条件③ 現場までの距離と、工事を分けるかどうか

出張費は総額の約23%を占めます。この費用は工事を分けるとそのたびに発生するため、本体工事とオプション工事を別々の時期に発注すると出張費が二度かかります。同じ時期にまとめれば一度で済むため、遠方の現場ほど、まとめて施工する計画を立てる価値が高くなります。

2. 営業しながら施工する場合の制約

宿泊施設や商業施設では、営業を止めずに工事を行うことがほとんどです。前述の例では作業可能な時間帯を10時〜14時30分(チェックアウトからチェックインまで)に設定し、1日あたりの実作業時間は4時間半、工期は10〜15日を見込みました。終日作業できる現場に比べ、作業時間の制約はそのまま工期の延長と施工費に反映されます。

見積依頼の際は、作業可能な時間帯、利用者の動線にかかる範囲、騒音を避けたい時間帯、搬入経路と資材置き場を最初に伝えることで、着工後の条件判明による工期延長・追加費用を防げます。

3. 相見積もりで確認すべき点

  • 資材が「防鳥用」か:防鳥ネットとして設置されているものが農業用資材だったという例もある。農業用資材は屋外・長期設置を想定しておらず、専門業者であっても保証の対象外とせざるを得ない。材質・規格・色・目合が見積書に明記されているか確認する
  • 保証の範囲:何年、何に対しての保証か。保証対象外となる条件が明示されているか
  • 防鳥の専門業者か:高所作業ができることと鳥害対策ができることは別の技能。鳥の行動や侵入経路の見立て、資材選定の専門性があるかを現地調査時の説明で確認する
  • 「できないこと」を説明しているか:建物の形状によっては完全に防げない方向が残ることもある。「完全に防げます」とだけ言う業者より、できる範囲とできない範囲を事前に説明する業者の方が信頼できる
  • 保険に加入しているか:労災保険に加え、工事中の事故に備える請負業者賠償責任保険、引き渡し後の事故に備える生産物賠償責任保険(PL保険)の両方があるかを確認する。弊社グラックスはこの3つすべてに加入しており、証明書類はご依頼いただければ提示可能です

4. 鳩の糞と健康リスク、法的な制約

オウム病はクラミジア属の病原体による感染症で、病鳥の排泄物に含まれる病原体の吸入が主な感染経路とされ、ドバトの保菌率は約20%と報告されています(感染症法上は4類感染症)。クリプトコックス症も、鳥類の堆積した糞で増える真菌の吸入感染が主な経路とされています(環境省「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」)。不特定多数が利用する施設では、糞が堆積した状態を放置するリスクをこうした資料で説明できます。

また、鳩は鳥獣保護管理法の保護対象であり、卵やヒナがいる巣を許可なく撤去することはできません。営巣が確認された時点で工事スケジュールに制約が生じるため、被害に気づいてからの着工時期には注意が必要です。

まとめ

施設の防鳥ネット工事の費用は、ネットの価格ではなく現場の条件で決まります。費用の約65%は人が動くための費用で材料は約26%、高所作業の方法(足場・ロープアクセス・他工事の足場の利用)が最も大きく影響し、施工範囲は広げたほうが㎡あたりは安くなる傾向があります。修繕計画がある施設では、他工事の足場を利用できるタイミングを逃さないことが最も効果的な費用の抑え方です。

グラックスでは、現地を確認したうえで施工範囲の異なる複数案をお出ししています。建物の形状上どうしても防ぎきれない範囲がある場合は、その点も含めてご説明します。

現地調査・お見積りは無料です。
施設の種類と階数、被害箇所、作業可能な時間帯、修繕計画の有無などをお知らせいただければ、スムーズにご案内できます。

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