
シロアリ駆除の補助金は、ほとんどの自治体では設けられていませんが、税金や保険の制度を使えば費用を抑えられます。雑損控除の具体的な計算例をはじめ、火災保険・契約不適合責任が適用される条件や、費用を抑える業者選びのポイントまで解説します。
床のきしみが気になりはじめると、頭に浮かぶのは「もしかしてシロアリ被害かもしれない」という不安ではないでしょうか。駆除には数万円から数十万円かかることもあり、補助金で少しでも費用を抑えられないかと考える方も多いでしょう。
実は、雑損控除や火災保険、契約不適合責任といった制度を活用すれば、費用負担を大きく抑えられる場合があります。
本記事では、それぞれの適用条件や計算例、費用を抑える業者選びのコツを、2026年7月時点の情報にもとづいて解説します。
目次
結論から言うと、シロアリ駆除のみを対象とした補助金を用意している自治体は、全国的に見ても極めてまれです。「害虫駆除補助金」という名称の制度自体は各地にありますが、多くの場合はハチやカメムシといった衛生害虫が対象で、シロアリは含まれていません。制度の名前だけを見て期待しすぎず、まずはこの前提を押さえておくことが大切です。
とはいえ「少しでも費用を抑えたい」「利用できる制度があるなら活用したい」と考える方は多いでしょう。シロアリ駆除に使える補助金は少ないものの、条件によっては活用できる制度もあります。
ここからは、補助金の実情とあわせて、代わりに活用できる具体的な制度を順番に見ていきます。
シロアリ被害は個人の住宅内で発生する問題であり、公共性の高い施策とはみなされにくいという事情があります。また、耐震改修や省エネ改修といった他のリフォーム支援制度とも目的が重なりやすく、あえて単独の制度として整備されにくい面もあります。
行政としては、私有財産の維持管理は所有者自身の責任という考え方が根底にあるため、シロアリ駆除単体への補助は後回しになりがちです。
国や自治体の補助金制度の多くは、耐震化や省エネなど、社会全体への便益が大きい工事を対象としています。個人の資産維持が主な目的となるシロアリ駆除は、こうした制度と比べて優先順位が下がりやすい分野だといえます。
福島県金山町では、シロアリ駆除を補助対象に含む制度を設けています。対象害虫には、カメムシやスズメバチに加えて「シロアリ」も明記されています。
補助内容は以下のとおりです。
ただし、このようにシロアリ駆除を明確に補助対象としている自治体は、全国的に見ても多くありません。京都府では、現時点でシロアリ駆除そのものを対象とした補助金制度は確認できませんでした。
一方で、自治体によっては、住宅の耐震改修やリフォーム支援制度のなかで、シロアリ対策工事が補助対象となる場合があります。まずは、お住まいの市区町村の窓口に相談してみるとよいでしょう。
また「京都市 住宅 リフォーム補助金」のように、お住まいの地域名を含めて検索すると、利用できる制度を見つけやすくなります。
なお、補助金や助成金の制度は、年度や自治体の予算状況によって内容が変更されたり、終了したりする場合があります。申請を検討する際は、必ず自治体の最新情報を確認しましょう。
出典:福島県金山町「カメムシなどの害虫駆除に補助金が出ます」(https://www.town.kaneyama.fukushima.jp/soshiki/56/gaichu.html)
補助金を利用できない場合でも、費用負担を軽減できる方法があります。それが、確定申告で利用できる「雑損控除」です。
雑損控除とは、災害や盗難などによって生じた損失を、所得から差し引ける所得控除のひとつです。控除を受けることで、所得税や住民税の負担が軽くなる場合があります。
国税庁では、シロアリによる被害を、所得税法施行令に定める「害虫その他の生物による異常な災害」として扱っています。そのため、シロアリ被害による修繕費用や駆除費用は、雑損控除の対象となります。
つまり、シロアリ被害は、税制上では台風や火災などと同様に、災害の一種として認められているということです。費用負担を少しでも抑えるために、利用できる制度として覚えておくとよいでしょう。
出典:国税庁「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm)
出典:国税庁「シロアリの駆除費用」(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/01.htm)
雑損控除を受けるためには、主に次の3つの条件を満たす必要があります。
1つ目の条件は、被害を受けた住宅の所有者が、納税者本人または「生計を一にする親族」であることです。生計を一にする親族とは、同じ家に住んでいる場合だけでなく、仕送りなどによって生活を支えている親族も含まれます。
2つ目は、被害を受けた資産が日常生活に必要なものであることです。実際に住んでいる自宅や、日常的に使用する家具などは対象となります。一方で、別荘や投資用アパート、めったに使わない倉庫などは対象外です。
3つ目は、専門業者に依頼して駆除を行っていることです。市販の薬剤を使って自分で駆除した場合の費用は、原則として雑損控除の対象になりません。
また「駆除」と「予防」の違いにも注意が必要です。実際にシロアリ被害を受けた部分の駆除費用や修繕費用は対象となりますが、被害が出ていない箇所への予防的な薬剤散布の費用は対象外とされています。
確定申告をスムーズに行うためにも、業者に依頼する際は、駆除費用と予防費用の領収書を分けてもらうよう伝えておくと安心です。
出典:国税庁「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm)
控除額は少し複雑な計算式で決まりますが、具体例で見ると理解しやすくなります。計算方法は次の2つのうち、金額が大きいほうが採用される仕組みです。
たとえば、総所得金額が350万円の方が、シロアリの駆除・修繕費用として45万円を支払ったケースで考えてみましょう。
計算1では、45万円-350万円×10%=10万円となります。
一方、計算2では、45万円-5万円=40万円となります。
この場合は金額の大きい計算2が採用され、40万円が控除の対象です。仮に所得税率が20%だとすると、40万円×20%で、所得税が8万円ほど軽減される計算になります。
一方、総所得金額が500万円の方が同じく45万円の被害を受けた場合、計算1は45万円-500万円×10%でマイナスになるため、実質0円として扱われます。この場合も計算2の40万円が採用され、控除額は同じく40万円です。
このように、所得が高くなるほど計算1の控除額は小さくなりやすいため、被害額と所得のバランスによって、どちらの計算が有利になるかが変わってきます。被害が大きいほど控除額も増える仕組みなので、まずは実際の被害額を業者に見積もってもらうことから始めるとよいでしょう。
出典:国税庁「所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/03/order3/3-3_23.htm)
雑損控除を受けるには、確定申告が必要です。会社員の方であっても、年末調整だけでは雑損控除は適用されないため、別途申告する必要があります。
申告時に準備しておきたい主な書類は、以下のとおりです。
申告書の提出方法は、税務署の窓口や郵送のほか、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使ったオンライン提出も可能です。
確定申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。しかし、申告を忘れていた場合でも、駆除を行った翌年の1月1日から5年以内であれば、還付申告として手続きできます。
手続きに不安がある場合は、税務署の窓口や税理士に相談すると、必要書類や記入方法を具体的に教えてもらえます。
出典:国税庁「確定申告を忘れたとき」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm)
出典:国税庁「還付申告」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm)
「火災保険でシロアリ駆除費用を補償できないか」と考える方もいるでしょう。しかし、通常のシロアリ被害は経年劣化と判断されるため、基本的には補償対象外です。
一方で、すべてのケースで保険が使えないわけではありません。たとえば、台風によって屋根が破損し、雨漏りによる湿気が原因でシロアリが発生した場合は、火災保険が適用される可能性があります。
ただし、自然災害とシロアリ被害との因果関係を証明する必要があるため、申請のハードルは低くありません。まずは加入している保険の補償内容を確認し、保険会社へ相談しましょう。
申請する際は、被害箇所の写真や業者による調査報告書などを準備しておくと、保険会社への説明がスムーズになります。
住宅の購入時期によっては、補助金や保険とは別の方法で費用負担を軽減できる場合があります。そのひとつが「契約不適合責任」です。
契約不適合責任とは、住宅の契約内容と実際の状態に違いがあった場合に、売主が負う責任のことです。
新築住宅では、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により、引き渡しから10年間は構造耐力上主要な部分(および雨水の浸入を防止する部分)の欠陥について売主が責任を負います。施工不良が原因でシロアリ被害が発生した場合は、無償修繕を請求できる可能性があります。
中古住宅を購入した場合も、契約内容によっては契約不適合責任が関係します。売買契約時に「シロアリ被害はない」と説明されていたにもかかわらず、引き渡し後すぐに被害が見つかった場合は、売主へ駆除費用や修繕費用を請求できるかもしれません。
ただし、築年数が経過した住宅では、新築時の保証期間が終了していることがほとんどです。購入から日が浅い場合は、契約書や重要事項説明書にシロアリ被害に関する記載がないか確認してみましょう。
契約不適合責任を追及する場合は、被害に気づいた時点で早めに売主へ連絡することが大切です。時間が経過すると、請求が難しくなる可能性があります。
対応に迷う場合は、購入時の不動産会社や弁護士に契約内容を確認してもらうと、今後の対応を判断しやすくなります。
出典:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001586555.pdf)
補助金や保険が利用できない場合でも、業者選びを工夫することで費用を抑えられる可能性があります。
ここからは、悪徳業者を避けながら、適正な価格でシロアリ駆除を依頼するためのポイントを紹介します。
シロアリ駆除の費用は、依頼する業者によって差が出ることがあります。ただ安いという理由だけで選ぶと、施工範囲が狭い、必要な作業が含まれていないといったケースもあるため注意が必要です。
複数の業者から見積もりをとり、金額だけでなく、施工範囲・使用する薬剤・説明の丁寧さなども比較しましょう。
なお、シロアリ駆除の費用は、建物の被害状況や床下の構造によって大きく変わります。正確な金額を知るには、現地調査による見積もりが必要です。
一般的な工法である「バリア工法(薬剤を散布してシロアリの侵入や被害を防ぐ施工方法)」の場合、費用相場は20坪程度で約12万4,000円~16万6,000円、30坪程度で約18万6,000円~24万9,000円が目安です。ただし、被害の程度や床下の状態によって変動するため、参考程度に考えてください。
見積書を比較するときは、口頭での説明だけで判断せず、保証書のひな形や工事内容の内訳も確認しましょう。金額の差がどこから生じているのか把握しやすくなります。
極端に安い見積もりを提示する業者のなかには、必要な作業を省いたり、契約後に追加費用を請求したりするケースもあります。価格だけで判断せず、施工内容まで確認することが大切です。
こちらの記事では、シロアリ駆除にかかる費用についてより詳しく解説しています。
工法別・坪数別の相場や安く抑える方法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
料金の安さだけで業者を選んでしまうと、施工後にシロアリが再発しても対応してもらえず、結果的に高くつくケースがあります。優良な業者の多くは、施工後5年程度の保証と、その間の定期点検をセットで提供しています。
再発時に無料で再施工してもらえるかどうかも、契約前に必ず確認しておきたいポイントです。また「しろあり防除施工士」などの有資格者が在籍しているか、公益社団法人 日本しろあり対策協会に加盟しているかもあわせて確認すると、より安心して依頼できます。
同協会の公式サイトでは、加盟業者を都道府県別に検索できるため、契約前の確認に役立ちます。
グラックスでは、適正価格でのご提案と無駄のない確実な施工技術を強みとして、充実した保証制度と定期点検をご用意しています。
出典:公益社団法人 日本しろあり対策協会「登録施工業者会員名簿」(https://www.hakutaikyo.or.jp/meibo)
シロアリ駆除に利用できる補助金は、多くの地域で用意されていないのが現状です。ただし、条件を満たせば雑損控除や火災保険、契約不適合責任などを活用できる可能性があり、費用負担を抑える方法はあります。
また、無駄な費用をかけずに対策するには、被害状況に合った適切な施工を提案してくれる業者選びが重要です。
グラックスでは、状況に応じた無理のないプランをご提案し、施工後5年間の保証と定期点検によって、長期的な安心をサポートしています。
床のきしみや羽アリなど、シロアリ被害が気になるサインがある方は、まずは現地調査をご利用ください。グラックスが住まいの状態を丁寧に確認し、必要な対策や費用の目安をわかりやすくご案内します。
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